お兄ちゃん。

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11月半ば。 初めてお兄ちゃんに会った。 友達からくらったドタキャンに沈んでいた気持ちは今違う形でわくわくしている。 自分から誘っておいてビックリしていた。 まさか自分がそんな大胆な事をするとは思っていなかったから。 電車に揺られながらドキドキしていた。 目的地は地元から電車で一時間。 そこにある病院には半年に一度訪れているので見慣れている風景。 視力の悪いあたしは定期的に検査にやってくる。 いつもはチビを連れて。 今日は一人で。 外出できる丁度いい機会だったから、友達と出かけられる事が本当に楽しみで一カ月も前から予定を立てていた。 いつも持ち歩く大きめのバックから鏡を取り出した。 そしてポーチからグロスを取り出すと、唇にそれを持っていく。 【午前中、一件仕事が入ってるから丁度昼くらいになっちゃうけどいい?】 【あたしも先に病院あるから全然構わないよ!仕事頑張ってね(*^_^*)】 まだ時刻は10時になったばかり。 それなのにあたしは緊張していた。 心臓はドキドキといつもより早くリズムを刻んでいた。 診察の待ち時間にもお兄ちゃんとのメールを続けていた。 携帯片手にたぶんあたしはにやけていたと思う。 【ところでさくら、どこまで出かけてんの?】 あたしがいる場所からだとたぶんすごく遠いい。 駄目なら駄目でその時は仕方ない。 会えないならその方がいいのかもしれない。 そんな気持ちであたしはお兄ちゃんに居場所を教えた。 すると返事は呆気なく返ってきた。 【そっか。了解!ちょっと時間かかっちゃっうかもしれんけどそこまで迎えいくから待ってて(*^_^*)】
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