お兄ちゃん。

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お兄ちゃんの家は遠いいはず。 まして今日は仕事。 なんだか来てもらうのは悪い気がした。 【あたし行けるとこまでだったらいくよ?】 病院の待合室では着々と順番が呼ばれていく。 【さくら、どこまで来れるの?】 そう聞かれるとどこまで行けばいいのか解らない。 【ごめん、お兄ちゃんが何処にいるのか解らないし、ここからそこまでの間にどんな地名があるのか解らない。。。】 【ははっ。だと思った!いいよ!さくらはそこにいて?】 それから診察は順調に終わり、空いた時間を潰すべくあたしは献血センターに向かった。 昔から献血は趣味の様な物で良く行っていたが、子供が生まれてからはなかなか行く機会がなく、本当に久々だった。 【そっち、飯食うとこどっかおススメある?】 あたしもあまりこっちに頻繁に来ている訳ではないので聞かれても困ってしまった。 【ごめん、あたしもあんまりこっち解んないんだぁ(@_@)】 【じゃあ後で一緒に探そうか?また近くなったら連絡する!!】 こうしてあたし達は約束をした。 ドキドキした。 結婚して以来、当たり前だけど旦那以外の男の人と食事に行く事なんて無かったから。 そして、その一時間後、メールが来た。 【駅前着いたよ!何処にいる??】 あたしは急いで改札前に向かった。 ロータリーでキョロキョロと辺りを見渡す。 解るはずがない。 【どこにいる?】 【ロータリー。車はね、シルバーのNOTE。メールじゃ分かんないから電話しない?】 そこには彼の電話番号が入っていた。 けれど車はすぐに解った。 電話をかけず、車に近寄ると窓をコンコンとノックした。 彼はちょっとだけ驚いた顔をして、そしてあたしに笑いかけ、ドアを開けてくれた。 「乗って?」 初めて聞く彼の声は想像通りだった。
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