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それから少しの仮眠を取って、チビを起こす前に洗濯と自分の朝食を済ませる。
ここからがまた戦争だ。
パパに似たのか、寝起きの悪いチビ。
支度を済ませるまでが大変だ。
それまであたしの母にチビを預かってもらっていたが、年末から体調を崩しそれが困難になった為、チビも保育園への入園を余儀無くされた。
空きを待って二カ月。
それでも割とすんなり入れた方だと思う。
三歳になった彼は驚く程にママっ子で、朝のお別れがこれまた一大行事。
とにかく、送り出すまでが戦いなのだ。
「今日も変わりありません。少し風邪気味です。…よろしくお願いします」
先生にそう伝え、軽く会釈する。
「わかりました。行ってらっしゃい、ね?まぁくんも」
先生に促され、チビもあたしを見て、泣く泣くしばしの別れを告げる。
「…行ってらっしゃい、ママ…。早く帰ってきてね?」
それを見て、あたしは笑顔で約束を交わす。
「うん。絶対迎えに来るから、いい子しててね?」
そして、あたしはその足で仕事に向かう。
職場までは徒歩で十分程度。
天気は快晴。
清々しい気持ちで歩き出す。
さぁ、今日も一日頑張ろう、そう気合いを入れて。
職場に着くまでのその間、携帯が音を響かせる。
その特別な着信音に心はうきうきしながら携帯の画面を開く。
ここ二カ月、これが毎日の日課。
メールだ。
受信した相手の名前は小泉浩。
【おはょ。今日もいい天気だね。
今日はちょっと忙しくなりそう(;_;)
1日頑張ろうな!】
一週間の始まる月曜日と言う今日。
彼が忙しいのは解っていた。
月曜日には会議があるから。
これもこの二カ月でよく学習した。
あたしは一人にっこりと微笑みながら返信した。
どんなに忙しくても彼は毎日メールをくれる。
日中忙しくても朝と仕事帰りには必ず忘れずに。
あたしが淋しく無い様に、とそんな優しい彼を想うと自然と笑顔になるのだ。
返事を返すと、あたしは丁度到着した職場の正門を潜った。
毎日四時間、あたしはここで五十人余りのパートのおばちゃん達と流れ作業に励むのだ。
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