あなたを知った日。

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まだ、あたしの中で彼の存在はそこまで大きくなかったんだと思う。 割とすんなり彼を拒む事が出来たから。 あたしの返事に彼もすぐに納得した。 【そうだよな。ごめん、変な事言って。困らせたよな。】 【そんな事ないよ?あたしこそごめん。素直に好きだって言えなくて((+_+))】 【いいんだよ。さくらの判断は正しい。当たり前の答えだよ?頭おかしいのは俺だから。俺はこれからもさくらのいいお兄ちゃんでいるよ!】 それから彼からそんな話を持ち出す事は無かった。 ただ、毎日コミュニティー内でのやり取りだけが続きお互いが良いお兄ちゃん、良い妹をこなす。 現実では良いパパ、良いママをこなす。 不満や愚痴があればお互い聞きあい、相談に乗り、解決策を導く。 異性だから判る気持ちって物があるから、そのアドバイスはあたしにとっては貴重なものだった。 浩はあたしにこんな事も言った。 【いい?さくら。何があっても離婚だけはしないで?子供には罪は無いから。】 そんなの解ってるよ? あたしだって中途半端な気持ちで結婚したわけじゃない。 暴力や金銭的な問題が無い限り絶対に離婚はしないって心に誓ったんだから。 あの紙に名前を書いたあの時に。 愛しい愛しい我が子が誕生したあの時に・・・ 励まし合って、支えあって、境遇の似たこの人と、会う事のないこの人と架空の世界で共存できると思った。 ずっと・・・ずっと・・・。 それが一転したのはあの告白から僅か一ヶ月後の事だった。 あたしは会ってしまった。 彼と。 なぜ会おうと思ったのかは解らない。 たぶんその時のあたしは精神的にいっぱいいっぱいだった。 まだチビの保育園も決まらず、母の体調は悪くなる一方で、仕事にも満足に行けず。 たまたまできた休日。 前々から予定していた一日保育の日。 友達と出かける為に初めて自分の為に作った休日。 しかし当日その友達にドタキャンされた。 突然空白になったあたしの予定。 あたしは一人電車の中、彼にメールを送っていた。
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