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「ちょッ……!!」
「う~~ん……。何がいつもと違うんだろう」
「な、何よっ!何なのよ!!」
鷹乃は驚いているものの、いつもみたいに反撃はしてこない。
ただ顔を紅潮させたまま、普段冷静な鷹乃が珍しくあわあわしている。
「いやね、鷹乃が可愛く見えるんだよ。すごく」
「なっ……!!?」
……何でだろ。
やっぱ疲れてんのかな、あたし。
うん、その可能性は非常に高い。
何故ならあたしは、小日向家に引っ越してからというもの、自分だけの時間がまともに持ててないのである。
まぁ鷹乃ん家に来たのも最近だけど、やっぱり自分だけの時間がお風呂とトイレだけってのは、色々詰まるよね。
ほら……あたし部屋まで鷹乃と一緒だしさ。
常に緊張しちゃって、リラックスなんてとてもとても。
「なっ、なっ、なっ、」
「ん?鷹乃?」
……あれ。
何か、鷹乃の様子がおかしい。
体が機械みたいに、ギクシャクしてる。
試しに鷹乃の頬を軽くつねってみたけど、反応は無し。
「なななっ、なっ……」
「ちょ、ちょっと鷹乃?だいじょぶ?」
「なっ、なっ……」
え?
ちょ、えっ?
だ、大丈夫か、ホントに……。
体内で熱暴走でも起こっているかのように、鷹乃の全身は真っ赤だ。
まるで頭上から、白い煙りが立ち上っているよう。
「あの、鷹乃?」
「………………」
「おーい……?」
ついには黙り込み、俯く。
これは本当にまずいんじゃ?と慌ててあたしは、鷹乃の顔を覗き込むと……。
「~~~~~~ッッ!!!」
「ほぶっ!?」
……鷹乃さんがあたしの頬に、全力で平手打ちをかましてきやがりました。
あれー!?
誰だよ!さっき理由もなく人を殴れるわけないとか言ってたの!!
当然すぐにはこの状況を理解出来ず、ポカンとしていたあたしだけど、殴られた頬がジンジンとしてきて我に返る。
「なっ、何すんのいきなりっ!」
あたしが大声で言うと、鷹乃は有り得ない程顔を真っ赤にしながら、叫んだ。
「うっさいバカ!!死ね!!」
「んなっ……!?あ、あのね!こちとら理由も無しにビンタされたら、たまったもんじゃないんですけど!?」
「うるさいうるさいうるさい!!」
それはもう、烈火の如く怒る鷹乃。
もちろんあたしは、正直怒られる理由も殴られた意味も分からない。
だから逆ギレされるとか、全く納得いかないんですけど!
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