1324人が本棚に入れています
本棚に追加
熱い・・・体が熱い・・・。
まるで体の中が燃えてるみたいだ・・・。
バケットシートに密着した背中は、汗で湿っている。
アクセルを踏んでいる脚がブルブル震える。
シフトレバーは優希の左手によって、踊るように移動しギアがチェンジされる。
単純な操作1つ1つが、非日常的なスピードを出していると考えると、つい笑ってしまう。
楽しくてたまらない・・・。
アクセル踏み込んで、ステアリングを握って、エンジンをレッドゾーンまでぶん回してるだけなのに・・・。
目の前を走るワンエイティを追っ掛けてるだけなのに・・・。
心の底から歓喜している自分がいる・・・!!
今を楽しんで、快感に酔いしれる自分がいる・・・!!
Zのリアタイヤが、アスファルトに噛み付き、トラクションを引き出して、車を前へ前へ押し込む。
Zが加速すればそれに比例し、優希のテンションも上がり、脳内に大量のアドレナリンが分泌される。
その影響でZが更に加速する。
そんな循環を繰り返して、優希自身のポテンシャルを最大限に発揮していく。
それに呼応するように、Zは優希に応える。
前を走るワンエイティの男は、そんなZを目の当たりにし動揺している。
速過ぎる・・・とても敵わない・・・!!
男は敗北を核心する。
前を走っているのにも関わらず。
確かに精神的には、追うより追われる方が辛い。
男はそれほど下手ではない。
寧ろ速い方だ。
だが優希から浴びせられるプレッシャーは容赦が無く、男を恐怖のどん底に陥れた。
最初のコメントを投稿しよう!