SCENE.3 実力

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熱い・・・体が熱い・・・。 まるで体の中が燃えてるみたいだ・・・。 バケットシートに密着した背中は、汗で湿っている。 アクセルを踏んでいる脚がブルブル震える。 シフトレバーは優希の左手によって、踊るように移動しギアがチェンジされる。 単純な操作1つ1つが、非日常的なスピードを出していると考えると、つい笑ってしまう。 楽しくてたまらない・・・。 アクセル踏み込んで、ステアリングを握って、エンジンをレッドゾーンまでぶん回してるだけなのに・・・。 目の前を走るワンエイティを追っ掛けてるだけなのに・・・。 心の底から歓喜している自分がいる・・・!! 今を楽しんで、快感に酔いしれる自分がいる・・・!! Zのリアタイヤが、アスファルトに噛み付き、トラクションを引き出して、車を前へ前へ押し込む。 Zが加速すればそれに比例し、優希のテンションも上がり、脳内に大量のアドレナリンが分泌される。 その影響でZが更に加速する。 そんな循環を繰り返して、優希自身のポテンシャルを最大限に発揮していく。 それに呼応するように、Zは優希に応える。 前を走るワンエイティの男は、そんなZを目の当たりにし動揺している。 速過ぎる・・・とても敵わない・・・!! 男は敗北を核心する。 前を走っているのにも関わらず。 確かに精神的には、追うより追われる方が辛い。 男はそれほど下手ではない。 寧ろ速い方だ。 だが優希から浴びせられるプレッシャーは容赦が無く、男を恐怖のどん底に陥れた。
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