SCENE.3 実力

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残りはもう半分しかない。 半分しかないのに、男にはそれがかなり遠くに感じた。 後ろから迫りくる「恐怖」。 いくらアクセルを踏んでも、いくらコーナーでブレーキを遅らせても、決して離れない。 あれは車では無く、幽霊ではないのか? そんなありえない事を考えてしまう。 ゴールは・・・ゴールはまだか? 早くゴールに飛び込んで楽になりたい。 男の精神はギリギリだった。 優希が放つプレッシャーが容赦無く、男に降り注ぐ。 やめたい・・・今すぐ車を路肩に停めて逃げたしたい。 だが後ろのZがそれを許さない。 ほら、もっと速く走れ。 そんな幻聴が聞こえる。 麓にいた時の威勢の良さは、もう微塵も残っていない。 極限のプレッシャーの中、必死に事故らないようにワンエイティを操る。 決着の瞬間は、刻一刻と迫っていた。
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