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残りはもう半分しかない。
半分しかないのに、男にはそれがかなり遠くに感じた。
後ろから迫りくる「恐怖」。
いくらアクセルを踏んでも、いくらコーナーでブレーキを遅らせても、決して離れない。
あれは車では無く、幽霊ではないのか?
そんなありえない事を考えてしまう。
ゴールは・・・ゴールはまだか?
早くゴールに飛び込んで楽になりたい。
男の精神はギリギリだった。
優希が放つプレッシャーが容赦無く、男に降り注ぐ。
やめたい・・・今すぐ車を路肩に停めて逃げたしたい。
だが後ろのZがそれを許さない。
ほら、もっと速く走れ。
そんな幻聴が聞こえる。
麓にいた時の威勢の良さは、もう微塵も残っていない。
極限のプレッシャーの中、必死に事故らないようにワンエイティを操る。
決着の瞬間は、刻一刻と迫っていた。
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