SCENE.3 実力

17/17
前へ
/398ページ
次へ
誰だ? ワンエイティの男の声ではない。 優希は声が聞こえた方に振り返る。 振り返った先の視界には、現朝日峠最速の沖田英二がいた。 「英二さん。どうかしました?」 「優希・・・お前速かったんだな。」 「・・・見てたんですか?」 優希の声のトーンが少し下がり、どこか冷めた口調に変わる。 「最終コーナーをドリフトしてるとこを見た・・・。何故それだけ速いのに、走ろうとしないんだ?」 「どういう事ですか?」 「お前が来て2週間経つ。だが俺はお前が走る所を見た事がない。」 確かに優希は朝日峠に来てから、初日と今日しか走っていない。 「そこは個人の自由ですよね?英二さんには関係ないです。」 「それがあるんだよ。お前は今まで走っていなかった。そして今日、初めて走って、かなり速かった。俺に匹敵するほどな!」 英二が少し声を張り上げて言った。 迅と美佳は、事の成り行きを静かに見守っている。 「バトルだ優希。俺とお前どっちが速ぇか決めようぜ。」
/398ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1324人が本棚に入れています
本棚に追加