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誰だ?
ワンエイティの男の声ではない。
優希は声が聞こえた方に振り返る。
振り返った先の視界には、現朝日峠最速の沖田英二がいた。
「英二さん。どうかしました?」
「優希・・・お前速かったんだな。」
「・・・見てたんですか?」
優希の声のトーンが少し下がり、どこか冷めた口調に変わる。
「最終コーナーをドリフトしてるとこを見た・・・。何故それだけ速いのに、走ろうとしないんだ?」
「どういう事ですか?」
「お前が来て2週間経つ。だが俺はお前が走る所を見た事がない。」
確かに優希は朝日峠に来てから、初日と今日しか走っていない。
「そこは個人の自由ですよね?英二さんには関係ないです。」
「それがあるんだよ。お前は今まで走っていなかった。そして今日、初めて走って、かなり速かった。俺に匹敵するほどな!」
英二が少し声を張り上げて言った。
迅と美佳は、事の成り行きを静かに見守っている。
「バトルだ優希。俺とお前どっちが速ぇか決めようぜ。」
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