SCENE.1 邂逅

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バトルは後半戦へと突入したのだろう。 マフラーから飛び出すエキゾーストノートと、タイヤから発せられるスキール音が一段と大きくなってきた。 そんな時だ、今日集まったギャラリー達が恐れていた事態が起きてしまった。 対向車である 峠を走っている走り屋にとって、対向車は恐ろしい。 運が悪ければ正面衝突。 仮に避けても、下手すればガードレールにぶつかる等事故が起きる可能性もある。 そんな恐怖の対象である対向車だが、その対向車はただの一般車では無かった。 全身漆黒に染められ、イングス製のエアロパーツで完全武装したそのマシンは、ノーマルでは出せないサウンドを周囲に放出していた。 「ぜ、Zだ!フェアレディZ、Z33!!」 ギャラリーの一人が、その車を指さしながら叫んだ。 「ここらじゃ見ないぞ!」 「余所から来たって事かよ!このタイミングで!!」 地元にとってイレギュラーであるそのZは、ゴール地点で待つ走り屋達にとって戦慄の対象となっていた。 「ヤバイな、今はバトルの最中だ。頼むから無事に通り過ぎてくれよ~!!」 バトルしている2台は、このコースで1番長いストレートを終えた所だった。 ここを抜ければ後ゴールは目前。 コーナーは後5つ、最初の右コーナーに入った。 その刹那、突然目の前が白い光に包まれ、視界が奪われた。
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