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どこか励ますようにも聞こえるその台詞は、優希に一つの決意をさせるには十分だった。
やるしかない・・・か。
「はあ~ぁ・・・。」
ベッドから起き上がり、わざとらしく深いため息をつき、言葉を紡いだ。
「まさか斉藤如きに悟られるとはな・・・。」
微妙に「如き」の部分を強調して言った。
「えっ!如きって!ひどくないそれ!」
「あっはっは。・・・サンキュー。吹っ切れたよ。」
優希は先程より明るい口調で、笑いながら礼を言う。
それを美佳はとびきり笑顔を浮かべ、サムズアップして返した。
「さて、今日はバイト無いし、来たるべき日に備えてセットアップするかな。」
「いってら~。」
優希は部屋のドアを開け、Zが格納されているガレージに向かって歩きだした。
同時刻、朝日峠頂上には赤い改造車が停まっていた。
英二と英二のFDである。
昨日、自分が優希にした宣戦布告。
あれから居ても立ってもいられず、気が付けばここに来ていた。
こんな感じは初めてだった。
今までバトルしてきたヤツは、口先だけのヤツや、自分よりも高価で速い車に乗ってるが、ウデの無いヤツがほとんどだった。
だが、優希は違った。
普段は気にならないのに、Zとセットになると発生する、とてつもない存在感があった。
アイツは速い。
間違いなく。
だからここに来た。
やるからには負けない。
相手がZだろうがなんだろうが関係無い。
全力を持って、本城優希に勝つ。
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