SCENE.4 NEXT

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陽は傾き、空は夕焼け色に染まる。 優希はZに乗って、ある場所に向かっていた。 法定速度を守りながら暫く走り、漸く目的地に着く。 朝日峠だ。 ここならあの人、沖田英二がいると思った。 確証なんかない。 ただ漠然と、そう思っただけだ。 走り屋のカンとでも言うべきなのだろうか? 麓の駐車場の横を通りすぎ、頂上に向かって走りだす。 コーナーでは少しタイヤが鳴る程度の速度で曲がる。 あらゆる所に目を向ける。 チェーンの着脱所、路肩。 バックミラーにまで目を移す。 いないのだろうか・・・? 峠も中盤を過ぎて、そんな事を考え始めた時だった。 コーナーの向こうから対向車が来た。 優希は反射的に対向車に目を向ける。 その対抗車の正体は、自分が捜していた赤いFDだった。 官能的なロータリーサウンドを響かせながら、前方からやってくる紅いFD。 間違いなく英二だ。 ZとFDがすれ違う。 そして直ぐさま優希はZのサイドブレーキを目一杯引き、クラッチペダルを踏みつけ、ステアを右に切り込む。 リアタイヤはロックし、フロントを軸にZは時計回りに180゚くるりと回った。 そしてすぐクラッチを繋げながらアクセルを踏み込み、スキール音を響かせながら、FDを追って発進させた。
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