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Zがサイドターンしたのを、英二はFDのバックミラー越しに確認した。
ings製のエアロパーツを付けている黒いZは、自分の知る限り1人しかいない。
優希だ。
間違いない。
それはいいとして、何で追い掛けてくるんだ?
昨日のあれの事だろうか?それともただ単に暇潰しの相手を探しているのか?
まあ、麓に着けば分かる事だ。
取り敢えず、7割程度で流してみるかな。
FDが少し加速する。
だが全開ではないのは他者から見ても明確であった。
そのペースに優希も素直に着いていく。
先程まで走ってきた道を、逆方向に走っていく。
コーナーを次々に通過していく。
そして優希はつくづく思った。
上手いと。
無駄がないと。
余計な動きがなく、まるで滑るかのようにスムーズだ。
全開で走っていないからこそ、優希には英二の技術の高さを思い知ってしまった。
麓の駐車場にたどり着く。
2人は隣同士に車を停めると、エンジンをアイドリングさせたままの状態で、ほぼ同時にドアが開き、ドライバーが降り立ち、向き合った。
「・・・その様子だと、ただ単に走りに来た訳じゃなさそうだな。」
「はい。昨日の事で、返事をしたくて。」
「・・・そうか。それで?」
静かだか、どこか威厳のある口調で、英二は質問した。
優希は息を言ったん吸い込み、一拍置いて、言った。
「・・・俺は、一人の走り屋として、沖田英二のバトルを受けます!」
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