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美佳の一言で、迅はハッとした。
確かに話がズレていた。
「じゃあ説明してやる。さっきも言ったように、優希は走り屋としてはかなり高いレベルにいる。」
「うん。」
「だからこそアイツの精神力は図太く、折れにくい。だが人間てのは繊細な生き物でな、サッカーとかデカイ試合の前とかは緊張して体が思うように動かなかったりする。」
「それが一体何の関係があるの?」
結論を急かす美佳を宥めるように、迅は落ち着き払った様子で話しを続ける。
「まあ聞けって。そんな場合人はどうすりゃいい?体を動かすのさ。ガチガチに固まった体をほぐすんだ。要するにウォーミングアップだな。」
「けど優希は寝てるじゃない。」
「そこがポイントだ。」
迅は一旦話を区切る。
「今日は最速とのバトルだ。優希はもちろん、当人は緊張する。ならどうやってほぐすか。・・・それがあの睡眠だよ。アイツは眠る事によって体をほぐしてるんだよ。」
この発言に、美佳は驚いた。
当然だろう。
睡眠によって緊張した体をほぐすなんて、普通なら考えられないからだ。
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