SCENE.5 対最速

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視界はまだぼやけてる。 瞬きを繰り返して視界を鮮明にする。 ベッドから上半身だけ起き上がる。 目を閉じて、またゆっくりと、目を開けた。 視界が鮮明になった。 ケータイで時間を確認する。 21:43分。 今から出れば十分間に合う。 優希は黒い上着を来て、部屋を出た。 Zが眠っているガレージへ向かって、真っ直ぐ廊下を歩く。 ガレージに繋がる扉を開ける。 開けると同時に、ひんやりした空気が優希の体を包んだ。 「後15分だぞ。間に合うのか?」 迅の声が聞こえた。 声の聞こえた方向に顔を向けると、愛車の黒いMR-2によっ掛かっていた。 「まだ余裕ありますよ。」 「そうか。・・・勝ち目はあるのか?」 「まだ何とも。全開の走りを見た事ないんで。」 「ほ~、珍しいな。お前が弱気なのは。」 この発言に、優希は苦笑いした。 自分は弱気なのだろうか・・・? 少なくとも、他人からはそう見られてる。 「弱気・・・か。確かにそうかもしれないです。」 やや自嘲気味に答え、苦笑いする。 「ふ~ん。まっ、どうでもいいや。取り敢えず楽しんで走ってこい。」 迅は、屈託のない笑顔で、優希に言った。 「・・・わかりました!」 勢いよく返事をし、優希はZに乗り込んだ。
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