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視界はまだぼやけてる。
瞬きを繰り返して視界を鮮明にする。
ベッドから上半身だけ起き上がる。
目を閉じて、またゆっくりと、目を開けた。
視界が鮮明になった。
ケータイで時間を確認する。
21:43分。
今から出れば十分間に合う。
優希は黒い上着を来て、部屋を出た。
Zが眠っているガレージへ向かって、真っ直ぐ廊下を歩く。
ガレージに繋がる扉を開ける。
開けると同時に、ひんやりした空気が優希の体を包んだ。
「後15分だぞ。間に合うのか?」
迅の声が聞こえた。
声の聞こえた方向に顔を向けると、愛車の黒いMR-2によっ掛かっていた。
「まだ余裕ありますよ。」
「そうか。・・・勝ち目はあるのか?」
「まだ何とも。全開の走りを見た事ないんで。」
「ほ~、珍しいな。お前が弱気なのは。」
この発言に、優希は苦笑いした。
自分は弱気なのだろうか・・・?
少なくとも、他人からはそう見られてる。
「弱気・・・か。確かにそうかもしれないです。」
やや自嘲気味に答え、苦笑いする。
「ふ~ん。まっ、どうでもいいや。取り敢えず楽しんで走ってこい。」
迅は、屈託のない笑顔で、優希に言った。
「・・・わかりました!」
勢いよく返事をし、優希はZに乗り込んだ。
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