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「遅かったな。待ってたぜ。」
吹き付けた突風など全く気にせず、普通に話しかける英二。
「すいません。少し寝過ぎました。」
悪びれた様子は全くなく、淡々と語る優希。
ギャラリーは、それを無言で聞いている。
いや、聞くしかないのだ。
それは辰也も同じだった。
始めて感じる威圧。
人を押し黙らせる雰囲気。
それら全てが未体験で、辰也は黙ったままだった。
「それより、何で今日はこんなにギャラリーがいるんすか?」
「どうやら昨日の事を、誰かに聞かれてたらしい。」
「あ~・・・そうですか~・・・。」
優希が納得したように、首を縦に頷きながら、間延びした声をだす。
「・・・まあ、俺たちのバトルに、ギャラリーなんて関係無いですよね?英二さん。」
優希は、冷たく笑った。
顔は笑ってる。
だが目が冷えきっているのだ。
その冷たい目は、英二の顔を捉える。
だが英二は微動だにしない。
そこは流石と言うべきか、朝日峠で最速を張っているだけはある。
「ああ、その通りだ。こんなギャラリーは飾りだからな。」
その時、英二の表情を見たギャラリーは皆驚いた。
英二も、優希に冷たい目をしながら笑っていたのだから。
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