SCENE.5 対最速

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「遅かったな。待ってたぜ。」 吹き付けた突風など全く気にせず、普通に話しかける英二。 「すいません。少し寝過ぎました。」 悪びれた様子は全くなく、淡々と語る優希。 ギャラリーは、それを無言で聞いている。 いや、聞くしかないのだ。 それは辰也も同じだった。 始めて感じる威圧。 人を押し黙らせる雰囲気。 それら全てが未体験で、辰也は黙ったままだった。 「それより、何で今日はこんなにギャラリーがいるんすか?」 「どうやら昨日の事を、誰かに聞かれてたらしい。」 「あ~・・・そうですか~・・・。」 優希が納得したように、首を縦に頷きながら、間延びした声をだす。 「・・・まあ、俺たちのバトルに、ギャラリーなんて関係無いですよね?英二さん。」 優希は、冷たく笑った。 顔は笑ってる。 だが目が冷えきっているのだ。 その冷たい目は、英二の顔を捉える。 だが英二は微動だにしない。 そこは流石と言うべきか、朝日峠で最速を張っているだけはある。 「ああ、その通りだ。こんなギャラリーは飾りだからな。」 その時、英二の表情を見たギャラリーは皆驚いた。 英二も、優希に冷たい目をしながら笑っていたのだから。
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