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対向車、もといZのドライバーである男、いや青年は車から降りていた英二と辰也に息を若干荒げながら尋ねた。
その様相に2人は少しア然とするが、すぐに気を取り直し英二は「大丈夫だ」と一言返事した。
「すいません・・・誰も走ってないと思ってて・・・本当にすいません!!」
青年は勢いよく頭を下げる。
「おかしいと思ってたんです。いくら何でも走ってる人がいないなんてあるはずないのに・・・」
頭を下げたまま話しを続ける青年に、いい加減痺れを切らした英二が、青年の話しを遮るように口を開いた。
このまま一方的に謝られ続けても話が進展しないと考えたからだ。
「お前・・・ここの走り屋じゃないだろ?確かにお前はこいつとのバトルを邪魔したが、知らなかったなら仕方ない事だ。」
「そーそー。それに、ここは天下の公道、対向車の処理をきちんと出来れば、事故を起こさず避けられたし、その後仕切り直す事も出来たしな。」
一通り話した英二に便乗するように、辰也も青年に声をかける。
「ところで、君の名前は?」
辰也が青年の名前を尋ねる
「あっ、本城です。本城優希と言います。あっ、普通に優希と呼び捨てでいいです。」
優希という青年は、少し控えめに名乗った。
「(優希か・・・覚えておくかな。)
そうか。所で優希、あんた歳いくつなんだ?」
「えっ?今年で20歳ですけど・・・。」
英二の質問に、優希が答える。
「ハタチ!?」
英二と辰也は素っ頓狂な声を上げて驚いた。当たり前であろう。
新車で買うと300万以上するZに乗っているのが、自分より年下の青年なのだから。
しかも、優希にとっては対向車であった自分達に対し、冷静に対応し通り抜けた。
それが英二の中で疑問に残った。
「と、とりあえず、下に行きません?って俺のせいですけど・・・」
そう優希が二人に提案するが、最後の一言は明らかに声のトーンが落ちていた。
それから数分後、3台は麓にあるゴール地点に到着。
すぐに駐車場へと入り、適当な場所に車を並べるように止めた。
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