SCENE.1 邂逅

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どうやって収拾をつけたらいいか分からなかったその時、突然どこからか着信音が流れ始める。 「あっ、すいません。」 音の発信源は、どうやら優希のポケットに入っているケータイのようだ。 通話ボタンを押して、電話に出る。 「もしもし?」 『こらぁ優希!!一体どこほっつき歩いてんの!!?』 突如受話口から響く叫び声。 その余りの大きさに近くにあた英二と辰也は1歩たじろぐが、優希は少し耳からケータイを離すだけだった。 「言っただろ?峠を走りに行くって。」 『それにしたって帰ってくるのが遅いの!!今日はお兄ちゃんと一緒にSWのメンテナンスするんでしょ!?』 それを聞いて、優希が「あぁ!」と思い出すようにリアクションする。 「そういやそうだったな。けど、もう11時だぜ?迅さん寝てるだろ。」 『大丈夫よ。お兄ちゃん夜型だもん。・・・・・・多分。』 最後の多分は、小声で言っていたが 「おい、今多分って言ったよな?」 優希にはばっちりと聞こえていた。 『どうでもいいから早く帰ってきてよ。』 「え?いや、それはちょ-」 『わかったね?』 電話で表情は分からないが、受話口から殺気が流れてくるのを感じた。 突然背筋が凍るような錯覚に陥る優希。 「・・・はい。」 結局優希が電話の向こうから伝わってくる殺気にくじけ、帰る事になった。 終話ボタンを押し、電話を折り畳んでズボンのポケットに仕舞い込む。 「すいません、今日は帰ります。」 「今の電話、彼女かい?」 と、辰也が聞くが、優希は首を横に振り、それを否定した。 「居候してるとこの娘さんなだけで、それ以上の関係じゃありませんよ。」 少し声のトーンを落としながらそう答える。 「あの、今日は帰ります。本当にご迷惑をおかけしました!!」 「ああ、また来いよ。」 「はい、是非。」 そう返事をし、優希は愛車であるZに乗り込み、朝日峠を後にした。
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