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Zを走らせて十数分後、ようやく自分が住んでいる家に到着した。
いや、正確には家というより屋敷である。
洋風なデザインで、そこら辺にあるアパートより大きい4階建てだ。
おまけにガレージがビルドインされている。
そのビルドインガレージに、Zをバックで滑り込ませるように停める。
ガレージの中には真っ黒なボディのTOYOTA MR-2(SW20)と、紺色のRX-8(SE3P)が静かに眠っている。
「ふぅっ」と息を一気に吐き出してから、エンジンを切った。
今日は色々あった。
息抜きで行った峠で、まさかバトルに乱入してしまうとは思わなかった。
そしてそのまま走れずアイツに呼び出され、帰ってきた。
・・・明日、また行こう。
そして、あの2人にきちんと謝ろう。
そう心の中で呟きながら車から降りる。
どうやらまだ謝り足りないようである。
すると、家とガレージが繋がっているドアが開いた。
「・・・迅さん。」
「よぉ、おかえり。峠走って来たのか?」
ドアから出て来た男、斉藤迅(サイトウ ジン)の問いに、優希は無言で頷いた。
「そうか。」
「迅さん、すいません。メンテ手伝えなくて・・・。」
優希は、申し訳なさそうに迅に謝る。
「いいよ別にさ。明日の朝早く手伝って貰うからよ。」
笑いながら話す迅。
迅の返答に思わず苦笑いしてしまう優希。
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