【第零章】~始まりの日~

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前を向けば行き場のない崖となり、後ろを振り返れば理解不能な力を使う“人間ではない者”がいる その追っ手から逃げているうちに逃げ道が塞がってしまった。 この状況を見れば、誰もが絶体絶命と思うだろう まさにその通り。 今まさに絶体絶命に陥っている一人の少年と一人の少女。 少年は自由自在に空が飛べたり、ましてや地面を割る力もない、ただの平凡な少年“だった” この世界に来るまでは…… 少女も特別な力を持っているわけではなかった。 しかし、“特殊な能力”が二人には備わっていた。 そして、この事態になった一番の原因はその少女にあったりする。 少年は再度、前と後を確認する。 そして少女を横目で見たあと軽くため息をつく まさか少年も“別の世界”で死の境界線を迎える事になるとは思いもしなかっただろう。 「……なんでこんな事になったんだろう……」 少年はゆっくりと自分の左手を見つめる そしてこの事態になったであろう時を思い出す それは普通で当たり前のように生活していた平凡な時。 ……そう。全ては自分の左手が原因だったのかもしれない……
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