101人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
前を向けば行き場のない崖となり、後ろを振り返れば理解不能な力を使う“人間ではない者”がいる
その追っ手から逃げているうちに逃げ道が塞がってしまった。
この状況を見れば、誰もが絶体絶命と思うだろう
まさにその通り。
今まさに絶体絶命に陥っている一人の少年と一人の少女。
少年は自由自在に空が飛べたり、ましてや地面を割る力もない、ただの平凡な少年“だった”
この世界に来るまでは……
少女も特別な力を持っているわけではなかった。
しかし、“特殊な能力”が二人には備わっていた。
そして、この事態になった一番の原因はその少女にあったりする。
少年は再度、前と後を確認する。
そして少女を横目で見たあと軽くため息をつく
まさか少年も“別の世界”で死の境界線を迎える事になるとは思いもしなかっただろう。
「……なんでこんな事になったんだろう……」
少年はゆっくりと自分の左手を見つめる
そしてこの事態になったであろう時を思い出す
それは普通で当たり前のように生活していた平凡な時。
……そう。全ては自分の左手が原因だったのかもしれない……
最初のコメントを投稿しよう!