【第零章】~始まりの日~

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――夏の蒼天の空に、とある高校のチャイムが鳴り響く チャイムが鳴ると同時に、その場にいた全員が一斉に立ち上がる 「起立、礼」 一礼が終わると、二つあるドアからは流れ込むように人が出ていった。 それを呆然と眺めている少年が一人。 「あんなに押しかけなくても、後から出ればいいのに……。人間ってせっかちだよなぁ。なぁ? 暁」 隣にいた男子、暁(あきら)と呼ばれた男は、予定表を見ながら振り向きもせずに、 「まっ、そういうもんだろ? 人って。  それよりも明日はテストだぞ」 それを聞いてゆっくりと人のいなくなったドアへ向かう少年 その姿を見て、暁は微笑を浮かべる。 「勉強嫌いはテストにも影響するみたいだな。  まぁ、頑張れよ」 嫌味っぽく肩を軽く叩く暁。 負けじと少年も暁を睨むような目で、 「いいよなぁ! “自称”天才はさぁ。勉強しなくても、テストの点数はいいんだから!」 声を上げて笑う二人 階段を一気に駆け降り、靴を履いて校門まで走りだす 当然のように少年は校門前で暁を待っていた。 「はぁ、はぁ…… やっぱ速いよな。頭脳がない代わりに、運動神経がいいんだよなぁ……」 嫉みが入ったような口調で一応は褒める暁。 「あぁ、どっちもどっちって事だよ」 少年の言葉に軽くため息をつき、門から出る暁 「まっ、完璧な奴はいないって事だ。  そうだろ? ゼロ」
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