はじまり

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―夏― 紺色に広がる空の下 太鼓や笛の音色 駆け回る子ども達 ほのかな光を放ちながら立ち並ぶ屋台 風に吹かれクルクル回る風車… 気付けば夏祭りの中、1人浴衣姿で歩いていた。 「賑やか…なんか…懐かしいな…。」 普段とは全く違う情景。 少し外れれば真っ暗な場所だというのに、ココは明るくて、なんだか気持ちがあたたかくなる。 人々の楽しそうな笑顔。 「お嬢さん。もうやったかい?」 いきなり声を掛けられた。 正面を見ると、いつの間にか一番奥まで辿り着いていた。 そして、声を掛けてきたおじさん。 その前にはガラガラ…福引きらしい。 「引換券持ってるね。まだ、いい景品残ってるよ。」 私の手には福引きの引換券が握られていた。 なんで…? なんて思う間も無く、おじさんが手を出しているので、 「あ…はい。お願いします。」 引換券をおじさんに渡し、クルクル回し出す…。 特に、期待もしていない。 私は全くクジ運がなく、いいものが当たった試しが… カラン…。 「…!」 ガランガラン! 「大当たりー!!」 おじさんが振るベルの音が鳴り響く… 「うそ…。」 どうやら、訳のわからないまま、初の『アタリ』という私の中での快挙を成し遂げてしまったらしい。 何故こんな時に… これが、この話のはじまり… キッカケとなる出来事です。
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