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通勤は、徒歩だ。彼の横を、高校生達が通り過ぎて行く。
生徒「おはようございます」
内海「…オハヨウ」
教師は、表情一つ変えずに返事をした。
生徒(…無愛想な人だなぁ)
彼の名は、『瀬戸 内海』(せと うつみ)A県、H市にある『音条高校』の教師だ。現代社会を教える彼は、今年で27歳。今は、1年B組の担任である。
身長は170㎝。細身で色白。ブロウタイプの眼鏡が、より知的な印象を漂わせている。性格は…とにかく、ドライ。感情を表にださない為、生徒達には『ロボ』と呼ばれている。
彼の父親は医者、母親は教師だった。兄も医者、弟も医者になる為の勉強をしている。常に人を見下す態度をとる父と兄への反発からか、物心ついた時から『ロボ』スタイルで生きてきた。
ふわっ と、風が吹いて、内海の少し長い前髪が揺れる。
内海(そろそろ、髪切るか…)
ブブブブ・ブブブブ…
カバンの中で、携帯がメールを受信した…微かな振動に、内海はすぐに気が付いた。が、広告メールか何かだろうと、ほうっておく事にした。
生徒「先生、おはようございまーす」
内海「…オハヨウ」
内海は、次々と声を掛けてくる生徒達に対して『面倒臭いな』と思いながらも、挨拶を返して学校へと向かった。
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