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「じゃあ君が――」  透き通るように通りの良い可憐な声が耳をくすぐる。僕は立ち止まって彼女の方を向く。 「私の運命を受け止めてみせて」  赤い髪を窓から吹き抜ける風に靡かせて、彼女はそう告げた。可愛げがあれども勝ち気な瞳が問う。  胸の奥で鼓動が聞こえた。 「同じことを言わせんな。お前の運命は俺のもの。誓っただろう、契約律第13条第三文『授けし貴女の運命と共にある』って。疲れたならいつだって背負ってやる。寂しいならいつだって抱き締めてやる。お前の笑顔を奪うなんて野郎は神様だってぶん殴ってやる。それでも不安なら黙って俺に任せておけ。お前の運命なんざ、今までずっと――んで、これからも永久に受け止めてやるからよ」  残念ながら、僕の言葉ではない。  彼女の瞳が見つめる先にある【主人公〔リング〕】の台詞。僕には理解出来ない内容いう点でも僕の台詞ではない。彼の台詞が一段落着いたところで二人の間を通り過ぎる。 「お、また明日な」 「じゃあな。朝原も頑張れ」  長台詞を告げた友人を労ってその場を後にする。毎度のことではあるが、学校から帰るのも一苦労だ。
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