6 寒椿か……

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「かつて、生け贄は、ここまで村人に付き添われてやってきました。そして、ここの祠のすぐ向こうの崖から、神にその身を捧げます」 「……捧げるって」  直久は恐る恐る聞いた。先ほど弟から鬼に身を“捧げる”ご先祖様の話を聞いたばかり。少々過敏になっても仕方の無いことだった。 「つまり、崖から飛び降りるのです」 「そ、そのあと食べられたりとかしないですよねっ!!」 「は?」  オーナーは訝しげな顔で、直久を見た。 「あ、いや、なんでもないデス……」  直久が引き下がったので、オーナーはとくに気に留めずに、改めて祠を見やった。  そして、手を合わせ、持ってきたオニギリを一つを供え、かわりに、昨日お供えしたのだろう、硬くなってしまった古いおにぎりをしまい込む。
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