6 寒椿か……

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 直久はそんなオーナーにつられて、そっと手を合わせる。だが、和久とゆずるは違った。ゆずるは刺すような視線で祠を睨み、和久はしきりに周囲を気にするように視線を泳がしている。 「さあ、戻りましょう」  気が済んだのか、すっきりとした顔のオーナーが三人を振り返った。  直久は、異議なしと、コクコクと首を縦に振った。  寒いし、薄暗いし、不気味だ。それに山の天気は変わりやすいと聞く。とっとと帰ろう。今すぐ帰ろう。帰って、あったかいコタツに入り、みかんが食べたい。 (ペンションにコタツがないのが残念すぎるっ!! なんで洋風なんだっ。冬はコタツとみかんだろうっ)  勝手に鼻息を荒くしていると、隣にいた和久がぽつりとつぶやいた。 「椿……」  今度は何だ。  そう思ったのは直久だけではなく、オーナーもだったらしい。オーナーはぎくりと体を硬直させた。
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