6 寒椿か……

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  「山の神といってたね、オーナーは」  そこでやっと兄は言葉を飲み込んだようで、目を丸々と見開いた。 「ど、どこいっちゃったんだよっ! だって、オーナー一生懸命毎日拝んでるんだろう? 留守なのに拝んでるわけ!?」 「うん……」  だから、とてもオーナーには言えなかった。  あなたが毎日娘のために祈っている神は、そこにはいない、とは。 「絶対に秘密にしておいた方がいいよな」  直久は、小声で確認する。 「そうだね。たぶん、オーナーの最後の頼みの綱──心の支えになっていると思うんだ」  和久は、申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、先頭を行くオーナーの背中を見つめた。
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