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背後に、射抜かれそうなほど強い妖気を感じたのだ。
和久は、険しい表情で、ばっと体をひねり、ペンションの三階を見上げる。窓に映し出された人影を見とめ、睨みつけた。
数秒の後、人影はすっと窓から消えた。
(あれは………)
人影が見えた場所は、三階の東の端の部屋。ツバキという名の少女の肖像画が飾られていた場所とは反対の廊下の突き当りにある部屋だ。
なぜ、あんな場所に。
そして、どうして彼女があれほどの妖気を放っていたのか……。
「どうした?」
兄が和久の様子に、何だどうした、とゆずると顔を見合わせている。
「分からない……」
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