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「さっ、行こう。僕たちはやることをやろう」
和久は顔を引き締め、階段を上り始める。直久も、今にも噴出しそうな憤りを何とか飲み込み、和久に倣った。
「……おそらくだけど」
あと数段で三階にたどり着くというところで、ぽつりと和久が言葉を漏らす。
「三階にいるのは、人ならぬ、強靭な霊力を持つモノ──」
(──っ!)
和久の言葉に直久はぎょっとなったわけではなかった。
触れただけで、全てを凍らせてしまうのではないかと思うほどの冷たい空気が、その部屋の扉から溢れ出ているのが“見えた”のだ。
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