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「もしかして、直ちゃん、アレが見えているの?」
和久の声で、直久は我に返った。
「灰色っぽい煙みたいなヤツのことか」
「本当に見えているんだね」
和久のことだ、直久の能力について疑っていたわけではないのだろうが、今まで何の能力も見せなかった直久に見慣れていたので、ものめずらしいというところだろう。
本当に、なぜ急にこのような状態になったのか。本人も皆目検討もつかない。
「とりあえず、そのことは後でゆっくり考えよう。お祖父様に聞いた方がいいかも」
「じじいに?」
条件反射的に直久の顔が引きつった。
双子の祖父は、ゆずるの祖父でもある。つまりは一族の頂点に立つ、九堂家当主のことである。
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