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「何でそこで嫌そうな顔するかなぁ? お祖父様に一番可愛がられているのって、直ちゃんでしょ」
「ばばぁには、嫌われてるけどな」
「そんなこと──」
和久は、最後まで言葉を紡ぐことができないようだった。無いとは言い切れない微妙な事実に、和久も思い当たったのだろう。
それもそのはず。祖母は、なぜか直久を自分から遠ざけようとする。恐ろしいものを見るような目で。
本人の被害妄想ではなく、意識過剰でもない、周知の事実なのだから。
直久も、幼いころはそのことで、胸を痛めたことも少なくなかったが、もう慣れた。それに、今ではあまり本家に近づかないようにしているために、祖母と接触することもほとんど無い。
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