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「――とにかく、その話は後にしよう。行くよ」
「よしっ!」
和久を先頭に、一歩また一歩、扉へ近づこうとし、三歩目の足を踏み出そうとした、その時だった。
(──!!!)
ぴたりと、直久の足が止まった。声を発したわけでもないのに、気配を察したのか、和久ががばりと直久を振り返った。
「どうしたの?」
「……動けねぇ」
「え?」
直久は顔を引きつらせ、切々に現在の状況を訴えた。
両足共に、石化したのではないかと錯覚するくらい、硬直している。動かないのだ。自分の意思では、首から下を動かすことができない。
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