6347人が本棚に入れています
本棚に追加
再び息を吐きながら、手を元に戻した頃には、和久の顔に新たな緊張が生じているようだった。
「結界が張ってあるよ」
「結界?」
「それも捕獲用の……」
「なんだそれ?」
「簡単に言うと、罠みたいなもの。悪霊とか妖怪専用の罠だから普通、人間は掛からないはずなんだけど」
「なんで俺、掛かってんだよ!」
「……なんでだろう?」
こんな時に、弟は暢気に腕を組んで、考え込み始めたので、直久はたまらない。
「なんでもいいから、早く助けてくれよ……」
情けない声を出す直久。だが、弟は申し訳なさそうに頭を振るだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!