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和久はぎょっとして、思わずその兄の腕を叩き下ろした。まるでハエ叩きでもするように。
「ちょ、ちょっと直ちゃん!! 神様だってばだからっ!!」
「いってぇっ。何だよ、カズっ!!」
二人は同時に大きな声を上げた。
「あ、そうか。神様ってエライのか」
「エライっていうか……」
和久は口ごもった。
兄はわかっていない。神がどれほど恐ろしいか。
神というものを敵に回すということが、どれほど愚かなことであるのか。
神は、気まぐれに人を助け、暇だからという理由で人の命を奪う。そして、一度機嫌を損なえば、自分の命は愚か、末代まで祟られる。
(出来れば……かかわりたくなかったのに……)
そんな和久の心配をよそに、無敵の直久はさらに和久の度肝を抜くようなことを言う。
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