7 俺にかまうな

21/46
前へ
/280ページ
次へ
 自信満々に、胸を反らす兄に、小さくため息もつきたくなる。だが、そんな直久を、山神はますます気に入ったようだった。 「そうじゃのう。わびに、そちに一つ教えてやろう」  山神はまっすぐに直久を見た。そして、少しだけ右へと視線をずらす。 「我の結界が粗悪だったのではない。そちのその器の中で飼っておるモノに、結界が反応したのじゃ」 「はぁ!?」 「──!?」  二人は同時に眉を寄せた。 「どういう事ですか?」 「なんだ、何をそんなに驚いておる。そちも飼っておるではないか」  山神は和久を顎でしゃくり示した。 (僕が飼ってる……?)   思い当たるものといえば、蛇の式神『雲居(くもい)』。  確かに雲居は普段和久の体内にいる。いると言っても正確に体のどの部分に収納している、というわけではない。多くの式神を所有する者は全ての式神を体内に入れておけないので、石など物体の中に入れておいたり、必要としている時だけ呼び寄せるなど形を取ることもあるが。いつも影のように、傍らにあるのが式神である。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6347人が本棚に入れています
本棚に追加