7 俺にかまうな

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  (まさか……)  和久は恐る恐る、山神に尋ねた。 「兄も……式神を持っていると?」 「それをそちたちが式神と呼ぶのならば、そうなのであろう。されど、見たところ、そちたちに御しえる類のものではないように思うが」 「まさか……そんなことが?」  ありえない。  式神を自分の使役とするには、一度は式神と対峙しなくてはならない。それは、式神が主と認めるほどに強い霊力者に仕えるからである。  和久も雲居を使役とするために、深手を負うほどの死闘を制したのだ。  つまり、ある日突然、式神が体内にいました、などということは有り得ないのである。それなのに、霊力を持っていなかった兄が、気がつかないうちに、しかも、御し得ないほどの強力な式神を使役することができるはずがないのだ。 「なんだよ? どういうことだよ?」  直久が不安そうに和久を見た。
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