7 俺にかまうな

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  「僕にも分からない」  もし、兄の体内に何かがいるとしたら、それは式神などではない。そんな有益なものなら、どんなにいいだろう。  だが、おそらく、居るのはそれと相反するもの。しかも、自分やゆずるがまったく気配を察することができないほどの、強大な力をもつモノ。    どちらにしても、山神が言うように、自分では太刀打ちできない。 「兄に害はないのでしょうか? そんなモノが体内にいて、兄は大丈夫なんでしょうか?」  不安に、語尾が震えた。  しかし、思い悩む和久に、山神は意外にも優しく笑いかけた。彼は、この時初めて、和久に笑顔を向けた。  山神に自分の存在を認められたような気がして、不思議と落ち着いた気分になっていくのが分かる。 「害は無いじゃろう──今のところはな」 「今のところ?」 「どうやら封印を施されているようだ。だが、解けかかっている。ごくわずかだが……そやつから妖気が感じられる」 「妖気!?」  
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