7 俺にかまうな

25/46
前へ
/280ページ
次へ
 女性の澄んだ声が聞こえたかと思うと、すうーっと姿を現したのは和久の式神、雲居だった。平安時代の姫を思わせる着物姿をしているのが特徴だ。  だが、鮮やかな紅色着物よりも、目を惹くのは彼女の長く流れる銀髪だろう。そよ風が吹くだけで、キラキラと輝き、思わず手を伸ばしたくなる美しさだ。和久が直久にいつも自慢するように、絶世の美女と表現するのが適切であろう。だが、いつも無表情なため、どこか冷たい感じがする美人である。  和久は雲居から知らせを受けると、一瞬にして青ざめる。 「直ちゃん、ゆずるが危ない!」  
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6347人が本棚に入れています
本棚に追加