7 俺にかまうな

34/46
前へ
/280ページ
次へ
  「黙れ、部外者っ!!」 「ゆずる、この方は山の神だよ」 「それがどうした? 俺は九堂家次代当主だ。そこらの神々よりよほど強い力を持っている。だいたい、その程度の力で神だと? 昔は、生け贄を捧げられていたらしいが、今は見る影もないではないかっ!」 「ゆずる、口が過ぎるよ!」  口さがないゆずるに、和久は肝を冷やし、慌てて制した。  たしかに、ゆずるはこの山神をしのぐ力を持っているが、それは絶頂期の時の話。今日はまったく霊力をもたないのだ。そんな時に、いたずらに神に喧嘩を売って、無事ですむわけが無い。 「いや、いい」  青ざめる和久に山神は柔らかく微笑んで、ゆずるに細くした目を向ける。 「なるほど、九堂の者であったか。霊がその身体を器にしたがるのも分かる。だが、確かに九堂家の次代ならば、そこらの神々――我などよりも強いであろうが、そなた、まことに次代か? なにやら汚れた血の臭いがする。さては、そなた、おん──」 「黙れ!」  顔を赤らめ、山神の言葉を遮るゆずる。 「それ以上言うと、吹き飛ばす」  
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6347人が本棚に入れています
本棚に追加