7 俺にかまうな

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  ◇◆ 『直久は、ここで待ってなさい』 『なんでっ!? ぼくも一緒にいく』 『だめだ。ここから先は、直久には入れないよ。そこで母さんと一緒に待っているんだ、いいね』 『やだぁっ!! ぼくも一緒にいくっ!!』  小さい頃から、いつもそうだった。  必要とされるのはカズばっかりで、オレは何の力も持たない、“いらない子”。  なんで、神様はオレとカズを双子にしたのだろう。  同じ顔。  同じ声。  同じ服を着て、同じ髪型にすれば、普通のヒトには見分けがつかない。  でも、うちの一族のやつらは違った。どんなことをしても、すぐに見分けてしまう。  “和久”と“その片割れ”。  自分に向けられた侮蔑の顔。  ため息とともに吐き捨てられた落胆の言葉。 『ああ、なんだ、双子の兄の方か』  いつだって、そうだ。  オレはおまけ。  オレは必要ない。  生まれる必要などなかった。
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