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「うわっ、いやっ、これは!! ねっ!!」
「…………」
タイミングよく、八重ちゃんが頬を染めたので、ますます和久の目が細くなった。そして、和久の後ろからやってきたゆずるの目は和久以上に冷たい。
「節操ないな。行くぞ、カズ」
「うん、そうだね」
ゆずるの口から容赦ない一言が吐き捨てられる。それに同調した和久の、ゆずるを追って去っていく後ろ姿に、直久はがっくりと肩を落とした。せめて、言い訳くらいさせてくれたって良いではないかやましいことなんて、これっぽちも“まだ”していないんだからさ!
「……あの」
「大丈夫、こういう扱いには慣れてるから」
ははは、と力なく笑って八重に片手を振ると、直久は二人を追ってテラスを後にした。
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