8 ツバキとアヤメ

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  ───……物語の主人公は、いつも可哀想なお姫様。  悪い魔女に虐められる哀れなお姫様。    お姫様は無垢で可愛らしい。  疑うことも、恨むことも、知らない。    愚かで無知なお姫様。  誰もが哀れむ。    私はお姫様ではない。  彼女を哀れむ立場であり、実際、彼女の不運に涙した。    だけど、なぜ?    なぜ、物語の最後にきて、彼女を羨ましく思うのか。  物語の最後だけ、彼女と入れ替われたらと思ってしまうのは、なぜなのだろう……────  
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