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自分がこの少女に教えてやりたい。
“生きている”ということを。
幸せを実感する日々を……。
清次郎がまた険しい顔になったので、彼女は彼を元気付けるように笑った。
「清次郎さんは、寂しがりやですのね」
その笑顔が、今でも十分幸せです、とでも言い出しそうな気がして、彼は切なくなった。
「ああ。君が居ないと、僕は生きていけないんだ」
そう言ってツバキの額に、そっと口付けた彼の目には、いつしか強い決意が浮かんでいた。
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