9 どっからどうみても、オレはイケメン高校生でしょう?

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  「……私のこと知ってるの?」 「君、オレが見えるんだよね? ていうか、今オレに触ってたよね、思いっきり」 「え?」 「その前に、オレの声、ちゃんと聞こえてる?」 「あ、あたり前でしょう?」  どうやら、普通に会話ができているらしかった。ということはどういうことだろう。  直久は、唸りながら腕を組み、右手で顎をさする。  直久が見えている人物が、自分をこの時代へ呼んだのだと思ったのに。アヤメもツバキも自分が見えているらしい。とすると、他にも自分のことが見えている人物がいるのだろうか。すっかりあてが外れてしまった。  これで、自分が見える人物全ての悩みを解決しなくては帰れないとかだったら、どうしよう。いつになれば帰れるのか分かったものではない。 「あなた……誰なの? わかった、神様ね? 待ちきれなくて、もう私を迎えにきたのですか?」 「はあっ!?」  すっかり考え込んでいる時に、話しかけられ、しかも、とんでもないことを言い出す彼女に、直久は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。 「どっからどうみても、オレはイケメン高校生でしょう? ごく普通の一般人です」 「こーこーせー?」 「そ。平成生まれ平成育ちの高校生っ! 大伴直久っていうのよ。直ちゃんて呼んでくれていいよん」 「ヘイセイ……?」  
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