9 どっからどうみても、オレはイケメン高校生でしょう?

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 そう思ったら、自然に口元がほころんでいた。 「うん。助けるよ」  遠くで彼の返事が聞こえた。 「一緒に、彼女を助けよう、アヤメさん」 「ええ……そうね。助けましょう……」  そうつぶやいたアヤメには、窓の外の真っ青な空に浮かぶ雲が、ひどくまぶしく見えた。  ────コンコン。  ふいに部屋の扉が鳴いた。  アヤメは、窓を見上げたまま返事をする。 「アヤメさん……私です」  どきりとアヤメの心臓が跳ねあった。一瞬にして、アヤメの体中の血が猛スピードで巡りだす。 「は、はい。今、開けます」  彼に物陰にかくれるように指示すると、パタパタとはしたなく着物の裾を揺らしながら、アヤメは扉に駆け寄る。  ガチャリと軽い音を立て、その部屋の扉は開かれた。現れたのは、さわやかな笑みを浮かべた青年だった。
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