9 どっからどうみても、オレはイケメン高校生でしょう?

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 アヤメは自分が石になってしまったのではないかと思った。  足が動かない。それ以上部屋に入ることが出来ない。  そんなアヤメとは対照的に、ツバキはアヤメから視線を離さず、ゆっくりとアヤメに近づいてくる。  ────コツ……コツ……。  木製の床が、乾いた音を立て、ツバキの後についてくる。 「…………」  目の前にたどりつくと、ツバキはピタリと足を止め、まじまじとアヤメを見つめた。  アヤメはごくりと唾を飲み込む。  怖かった。  全てを映し出す鏡を見ているようで。  今から自分がしようとしていることを、すべて見透かされてしまっているようで。  何か言葉を繰り出そうと、アヤメは口を開く。 「……っ」  だが、声が出てこない。  と、そんなアヤメを観察するように見つめていたツバキが、ふいに笑顔になった。 「アヤメね」 「…………」  
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