2 そこの壁にたくさんの目が!

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「……それで…オーナーの妹さんはどうなったんだ? 人形のようになったあと……それでも、どうにか生きていたんだろ? んで、治ったんだよな?」  直久は、恐る恐るたずねた。  その結末を聞いてはいけない気がする。そんな予感で頭が痛くなりそうだ。  それでも、わずかな望みを抱いて和久の言葉をじっと待つ。ひと呼吸置いて、和久が口を開くまで、えらく長い時間に感じられた。 「妹さんは──、亡くなったって」 (なっ!?)  がばりと、直久は体を起こした。和久を食い入るように見る。和久は、その刺すような視線を避けるように目を伏せ、言葉を紡いだ。その顔はいつになく、曇っている。
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