9 どっからどうみても、オレはイケメン高校生でしょう?

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 夢にまで見た、清次郎の腕の中は、なんと心地がいいのだろう。  見た目によらずたくましい腕が、ぎゅっと自分を包み込んでいる。  こんな幸せを手に入れるためならば、一生自分はツバキとして生きていこう。 「よかった、ツバキ。遅いから、迎えにいこうと思ってたんだ」 「まあ、心配性ですのね」  アヤメはふふふと笑った。それにつられたように、清次郎も微笑んだ。彼も、ずっと緊張していたのかもしれない。 「さあ、行こう」  差し出された清次郎の手にアヤメはそっと手を添えた。本当に本当に、嬉しそうに。 「ええ。行きましょう」  二人は駆けだした。輝かしい未来と自由の待つ、門の外へ――。  
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