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「体が動かせなくなって、手も、足も、指先ひとつ動かせなくなって……。寝たきりになって、口さえも利けなくなって、瞼も動かせない。最後は呼吸も自力ではできなくなって、十七歳の誕生日には心臓さえも止まってしまい、何も動かせなくなってしまったそうだよ」
「……」
「その時の妹さんと今のよしのちゃんが似ているって、オーナーは言っているんだ。確かに、ゆずるも僕もこのペンションには何か‘いる’気配を感じている。オーナーの言う通り、よしのちゃんの症状は悪霊によるものなんだと思う」
「じゃあ、その悪霊を退治すれば、よしのちゃんは助かるんだよな?」
和久は寂しげに口元を歪めた。
「そう思う。……最善を尽くすよ」
弟だって万能ではない。一族最強とうたわれるいとこだって、予期せぬ事や不可能なことはある。完全無欠はあり得ない。
分かってる。無理なものは無理だって。
(でも……)
自分と同じ年数しか生きていない少女が死ななきゃいけない理由がどこにあるっていうんだ。
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