6347人が本棚に入れています
本棚に追加
――――ガガガッ。
直久は再びギクリと息を飲む。
とたんに静寂が訪れた。
(な、なんだ。この感じ……さっきの嫌な感じに似てる……ゆずるが悪霊に襲われたあの時に──)
なぜだろう。
サアアアアっと、両足に冷気の波が押し寄せてくるのがわかる。
いやな汗が額に噴き出て来た。
――――ガッ。
再び聞こえた音に、ピクっと体が反応する。
本能的に直久は音の出所を探した。
(嘘だろう……)
聞き間違えであってほしい。
誰か嘘だと言ってほしい。
だって、オレに何か聞こえるはずがない!
オレが寒さを感じるはずがないんだっ!!
――――ガガガッ。
反射的に、直久は物置部屋を見渡した。右に、左に、肩ごと振り返る。
いったい、この音は何なんだ。
どこから聞こえて来るんだ!?
いくら、首を振りまわしても、音源が見当たらない。
なのに、どんどん音が近づいてくるように、大きくなっていくような気がする。
最初のコメントを投稿しよう!