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うるさい!
うるさい!
鼓膜が破れそうだ!!
「やめろ、やめてくれえええっ!」
助けて!
誰か助けて!
このままじゃ、変になりそうだっ!
誰か、この音を止めてくれ!
助けて!
頭が痛い、頭が割れそうに痛い!
助けて!!
助けてっ!!
――――助ケテッ!!
「直ちゃんっ!!」
肩を大きく揺す振られ、直久は我に返った。
静まり返った廊下に、一瞬、夢でも見ていたのかと錯覚する。
「……カズ」
かすれた声で、弟の名を呼べば、弟は優しく微笑み返してくれた。
いつの間にか、床に膝を着いて蹲っていたらしい。目の前に和久の心配げな顔がある。
「大丈夫? 何か見たの?」
脇や背中、額や首元――全身から汗が滝のように流れていくのを感じた。
「いや、見てない」
ぐっしょりと濡れた前髪を掻き分け、直久は部屋の奥──窓の下に積み重ねられた木箱の、さらに下を指さした。
「あの辺から音が聞こえたんだ」
「音?」
「誰かが板を何度も何度も引っ掻く音」
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