3 よそ様の家を破壊するな

23/24
前へ
/280ページ
次へ
 うるさい!  うるさい!  鼓膜が破れそうだ!! 「やめろ、やめてくれえええっ!」  助けて!  誰か助けて!  このままじゃ、変になりそうだっ!  誰か、この音を止めてくれ!  助けて!  頭が痛い、頭が割れそうに痛い!  助けて!!  助けてっ!!  ――――助ケテッ!! 「直ちゃんっ!!」  肩を大きく揺す振られ、直久は我に返った。  静まり返った廊下に、一瞬、夢でも見ていたのかと錯覚する。 「……カズ」  かすれた声で、弟の名を呼べば、弟は優しく微笑み返してくれた。  いつの間にか、床に膝を着いて蹲っていたらしい。目の前に和久の心配げな顔がある。 「大丈夫? 何か見たの?」  脇や背中、額や首元――全身から汗が滝のように流れていくのを感じた。 「いや、見てない」  ぐっしょりと濡れた前髪を掻き分け、直久は部屋の奥──窓の下に積み重ねられた木箱の、さらに下を指さした。 「あの辺から音が聞こえたんだ」 「音?」 「誰かが板を何度も何度も引っ掻く音」
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6347人が本棚に入れています
本棚に追加